eラーニングシステムのM&A
eラーニングシステム企業のM&Aの手法について
eラーニングとは、PCやスマホを用い、インターネット上で教育・学習する仕組みのことです。eラーニング製品はLMS(Learning Management System)と呼ばれる学習管理システムを備えており、学習の進み具合をしっかり管理できます。インターネット環境さえ整っていれば、いつ・どこからでもアクセス可能なため、時間や場所などの制限を受講者は受けません。
学習コンテンツも様々なものもあります。
例えば、就職活動・採用活動の際よく利用する『マイナビ』を運営している株式会社マイナビです。株式会社マイナビは企業の内定者向けに、Officeの使用法、ビジネスマナー、経理や給与管理などの研修をeラーニングシステムで提供しています。また、株式会社manebiが提供する『派遣のミカタ』は、派遣元事業者が派遣労働者の育成をするために、製造・事務・販売・介護・ITを含む1400以上のコンテンツを提供しているようです。
実際に対企業向けのeラーニングシステムの市場は成長しています。矢野経済研究所の調査によると、2015年度の国内eラーニング市場規模は、前年度比95.9%の1,596億5,000万円と縮小のようでしたが、法人向けの市場は前年度比102.0%の586億5,000万円と堅調に推移したようです。
では、eラーニングシステムを導入するメリットはどういうところでしょうか。以下で主なメリットを3点述べます
メリット1 時間と場所の制約がない
eラーニングシステムはインターネットを利用するため、時間や場所の制約がなく受講可能です。また、教育側も、会場の手配や印刷物の準備などのコストや手間を省くことができます。
メリット2 緊急性の高い周知事項の共有を迅速にできる
トラブル対応や新製品への対応など、大至急、全社的に同じ情報を共有が必要な場合にeラーニングは効果的です。実際に私も企業の長期インターンシップでセキュリティ面の注意事項が変更された際、eラーニングを使ってすばやく学習できました。
メリット3 受講者の理解度や進捗の管理が容易
eラーニングでは、受講者の理解度や進捗状況を正確に把握することができます。効果的にフォローアップすることも可能です。
最後に、eラーニングシステム企業のM&Aの際のポイントついて述べてきます。
eラーニングシステム企業のM&Aの際のポイントについて
主にポイントは3点あります。
Point1 目的や受講人数を明確にする
eラーニングシステム企業のM&Aに際しては、目的を明確にしてから、それに対応した企業を選ぶことが大切だと考えます。例えば、営業部の社員の売上を伸ばしたいのならば、マーケティングなど営業部の社員の知識向上につながるeラーニングプログラムを提供している企業をM&Aの買収候補とするべきです。また、ソフトによっては管理できる人数も制限があるため、受講者数も事前に把握すべきです。サービス提供業者に、大企業向けか中小企業向けかを確認してみるのも手かもしれません。
Point2 買収先のeラーニングシステムの機能を明確にしておく
eラーニングシステム企業は、知識の取得以外のサービスを展開している場合もあります。長期にわたる研修計画の立案、システムの構築、コンテンツの開発、運用と人事評価との連動など多岐に及びます。全社的なナレッジマネジメントを行いたいのなら、IT環境の整備や人事評価との連携など、全般的なコンサルティングを手がけている企業を選ぶようにしましょう。
Point3 スマートフォンやタブレットに対応しているか
会社の中で使うパソコン以外にも、Android、iPhone、iPadなどのモバイルに対応していれば、それだけ学習機会が増えることになります。特に日頃外出する部門へeラーニングシステムの学習を期待する場合にはスマートフォンやタブレットなどマルチデバイスの存在は必須だと思います。また、マルチデバイスへの対応は他社へeラーニングサービスを展開する際にも、必須の要件になると思います。
上記でeラーニングシステム企業のM&Aについて見てきました。実際に、伊藤忠商事株式会社及び伊藤忠グループのチャレンジ・ジャパン・インベストメント株式会社は流通小売分野への活用、システム面の強化のために、ネットパイロティング株式会社の株を15%程取得し、資本提携を進めました。このような形で、eラーニングシステムないし、eラーニングを含めたトータル的なシステム面の強化のために、eラーニング企業のM&Aないし資本提携は今後進むと思われます。