SFA(セールスフォース)企業のM&Aの手法
SFAとは、Sales Force Automationの略称で、一般的営業支援システムといわれます。例えば以下のようなことができます。
・既存顧客や見込顧客両方ともに関し、営業活動関連の情報管理
・過去の商談の履歴や現在進行形の案件の進捗状況の把握・
・アポイントメントや期限などの全体共有や編集
2013年の矢野経済研究所の調査結果によると、現在の利用率が12.9%、今後の導入予定が29%であり、他の人事・給与システムや財務・会計システムなどよりも大きな値となっています。次に、導入目的を49社にインタビューした調査によると、以下のようになりました。
出典:http://www.keyman.or.jp/at/30006105/
現状では、「営業の行動管理」と「商談の管理」が多くなっています。実際に、株式会社住宅公営販売ではSFAを導入した結果、営業に関するデータが分析可能になりました。営業プロセスを再構築した結果、社員1人当たりの売上高は業界平均の1.6倍になりました。
その一方で、多くの企業がSFAの導入後も費用対効果がマイナスになっているという事実もあります。実際に3年利用することを考えると、ライセンス料、初期導入費用、保守サポート費用、教育メニュー、導入コンサルティング費用など様々な費用が課されます。
その中で、2016年7月14日株式会社ヒュージョンパートナーはSFA(営業支援システム)事業を展開するソフトブレーン株式会社の発行済株式総数の45.57%まで取得し、国際会計基準(IFRS)上でM&Aしたと発表しました。株式会社ヒュージョンパートナーは電話窓口の自動音声応答システムなどを展開しており、SFA事業とのシナジー効果を狙ったものと考えられます。今後も自社事業とのシナジー効果なども目的でSFA企業のM&Aをするケースが出てくると思われます。以下ではSFA企業のM&Aを検討する際の注意点を述べます。
SFA企業のM&Aの手法のポイント
POINT01 パッケージ型かクラウド型か
それぞれのメリット・デメリットを把握してSFA企業のM&Aをすべきです。SFAの導入方法として大きく分けて、自社サーバで構築するパッケージ型とクラウド型が存在します。
クラウド型は初期費用は安いですがが、月額費用がかさみ、1~2年強すればパッケージ型の方が費用が低下すると思われます。また、パッケージ型の技術はカスタマイズが行いやすい特徴があります。
POINT02 自社の課題を整理し、期待効果を明確にする
上記の表にあるように、SFA導入の目的は多岐にわたり、中でも「営業の行動管理」と「顧客との商談管理」が主な目的でした。それだけでなく、実際の使い勝手が大切な要因です。
自社が求めるSFA効果としてどれが最も望ましいかを明確にして評価ポイントを絞り、必要な機能が揃っているか、利便性はどうかを確認すべきです。事前にデモ版や無料お試し版を利用して、SFA企業M&Aの選定するのも効果的かもしれません。
POINT03 CRMパッケージの一部か専用ツール・サービスか
SFAには、カバー領域が広いCRMパッケージの一部であるものと、専用のものの場合があります。CRMパッケージの一部として導入した場合はSFA機能で入手できる情報をそのままマーケティング活動に活かすことができるという利点がありますが、その分入力項目が増えてしまうため、現場での効率が落たり、担当者の反発を産む可能性があります。
一方、専用ツールやサービスを選択した場合は担当者の必要とする機能だけに絞ることが可能ですが、管理者や経営層に迅速に数字を渡せるようにするには他ツールとの連携が必要で、その分コストがかかってしまいます。SFA企業のM&Aの際は、CRM全体の事業を自社に組み込みたいのか、SFAの部分だけなのか、それを考慮する必要があります。
POINT04 サポートの充実度(導入時、導入後)
SFAはM&Aの後、導入するだけではあまり効率的ではありません。SFAを手段として営業改革を行うからこそ、SFA企業をM&Aするメリットがあります。そのため、中・長期的に各事業所、各部署などの利用率を計測し、状況に応じた適切なフォローを行う必要があります。初期の導入支援だけでなく、年単位で定着を支援する体制を持つ企業であれば、M&Aするにあたって十分なサポート運用力を備えているといえると思います。導入時、導入後のサポート体制については必ず確認すべきです。
以上でSFA企業のM&Aの選定時の注意点を見てきました。SFAはアカウントが増加するほど、つまり従業員が増えれば増えるほど、コストがかかる傾向にあります。なので、事業拡大を考えられている方や営業基盤を強化したい企業は是非M&Aすべきです。